昨日からの雨は今朝には上がって、少し青空も見える状況になった。昨日の日記の最後に書いたように、雲間から月も見え隠れしていた。
今回の宿はチャイナタウンのフラマ・シティーセンター。久しぶりに泊まったのだが、なかなか綺麗な部屋である。
さて、今日も朝からマリーナベイ・サンズのコンベンションセンターに出かけて、ISACAのCSXコンファレンスに参加した。朝のキーノートの最初は、IT環境の進化によって、人々が仕事に必要とするスキルが劇的に変化するだろうというような話である。これまでコンピュータとは無縁だった機械や仕事がコンピュータ化されてネットワークに繋がることで、そうしたものを使いこなすスキルが仕事の出来を左右する。AIやIoTなどが広がるにつれ、様々な分野にこうした変化がもたらされる。それに伴って、人間も相応のスキルを身につけていかなければならないが、こうした変化があまりにも早く進むと、人間が変化についていけないという問題が発生しかねない。実際に、それがこれから5年ほどの間に発生するだろうという話である。変化が顕著になってから慌てたのでは遅いから、早めに対処しておこうという話である。
二つ目のキーノートは、IoTにからめて、ファームウエアのセキュリティが危ないという話。こちらは、最近よく聴くたぐいの話で、あまり目新しいものではないのだが、この最初のスライドが意味深である。
「ファームウエアとNSAはお友達」なのだそうだ。でも、実際に最近の製品は分業化が進んでいて、サプライチェインも複雑化している。そうしたサプライチェインのどこで問題が紛れ込むかわからないというのが非常に不安である。実際、NSAもさることながら、某大陸の赤い國は、いまやこうしたサプライチェインの上流の多くを占めている。意図的に何かをされた時に、それをチェックしきれるかというのが大きな問題だろう。意図的なものばかりでなく、脆弱性のような不具合にしてもそうである。最終製品は違っても、中のアセンブリは同じ物が使われていることも少なくない。まったく違う製品に同じ問題が潜在することも十分に考えられる。こうした問題を下流にいるサプライヤーがうまくチェックできなければいけないのだろうが、そこが難しいのである。分業やアウトソーシングが過度に進むと技術が空洞化し、本来出来なくてはいけない品質面でのチェックすら難しくなることも少なくない。日本のソフトウエア業界が既にそうした状況に陥っている。まして、もともとコンピュータやネットワークと無縁だった業界が、外部から供給されたコンピュータ基板とソフトウエアを製品に組み込むといった状況下では、もともとなかったスキルが必要になるから、なおさら難しい。こうした問題は産業界が真剣に考えるべき課題だろう。
今日は、そのあと、Footprintingに関するセッショントラックに居座って話を聞いた。
要は、攻撃等を仕掛ける前の情報収集活動なのだが、午前中の話は、そのための手法など、結構面白かった。アフリカから来たという二人組のスピーカーはフランス語圏らしく、単語の頭のHが抜け落ちるなど、クセのある英語な上に早口で、ちょっと難儀した。午後になって、話がなんとなくつまらなくなってきたのもあって、途中で抜けた。
午後のキーノートは、CISOのお仕事についての講演だったが、このスライドは米国のCISOのお給料の分布である。平均値が2500万あたりだから、我々から見るとなかなかの高給だ。まぁ、Chief Scapegoat Officerと揶揄されるほどリスクの高い仕事だから、多少の高給は必要だろう。そういう意味では、日本のCISOは、Cheap Information Security Officerで、給料は格段に安い。(今回もまた Cheap と空耳してしまった・・・)まぁ、そのぶんリスクも少ないのかもしれないが、こういう数字を見るとちょっと悲しくなる。
結局、午後は途中で抜けて一度ホテルへ戻って小一時間仕事をして、それからまた会場にもどって、ISACA東京支部な人たちと一緒に飯を食いにでかけた。クラークキーあたりに行って店探し。
結局、そこからチャイナタウンまで歩いて、火鍋の店に入る。
右側のスープは激辛で、唇から喉までが焼けるように熱くなる。ビールが進む辛さである。結局、9時近くまで飲み食いして解散。私はホテルが目と鼻の先なので、帰りは楽である。しかし、辛い奴がまだ胃の中で暴れている。明日の朝はお尻も熱くなりそうだ。(笑)
さて、明日は最終日。朝、ホテルをチェックアウトしてから荷物を預けて会場に行き、お昼過ぎに終わってから、少し時間をつぶして、夕方に荷物をピックアップしてから空港に向かう。帰りは、夜行便でベトナムのホーチミンシティーを経由して成田に翌朝到着する予定である。