朝は湿気が多くて蒸し暑いアナハイム。雲というか海霧というか、ちょっとどんよりした天気である。
道沿いには、ディズニー詣での家族連れが歩いている。昨夜は、寝たのは寝たのだけど、やはり体は時差ぼけていて、なんとなくだるい朝である。
到着翌日から、というのはちょっときついのだが、今日からここで、ASISと(ISC)2共催のコングレスが始まる。ASISは、いわゆるトラディショナルなセキュリティ、つまりは警備だとか、テロ対策だとか・・・といった、どちらかと言えば物理的なセキュリティの団体で、今年で創立60年という伝統がある。一方、(ISC)2は、まだ20年たらずの歴史で、サイバーセキュリティ側の団体。この両団体のコラボは、ある意味、時代の流れだ。社会にITやネットワークが浸透している現在、従来からのセキュリティも、これらと切り離せなくなっている。さらには、こうした物理的なセキュリティの世界でもIT化は、どんどん加速している。いまや、監視カメラをはじめとする警備用のシステムの多くがIPネットワークに接続され、それ自体にサイバー攻撃のリスクをはらむ。サイバー側も、そろそろサイバーだけの世界に閉じていては、様々な脅威に対応できなくなってきている。実際、攻撃側でも、サイバーと物理、心理の融合が進んでいる。そういう意味で、このイベントは面白い。
伝統ある団体は洋の東西を問わず、なにかと儀式めいたことが大好きである。ASISも例外でなく、オープニングは楽隊入りで盛大に始まり、毎回、いろんなアトラクションが行われる。今回は、ジャグリングである。芸もさることながら、話術もたくみで面白い。これはいいのだが、困るのは昼食前に、あれこれ表彰式とかセレモニーをやるのが恒例になっていること。テーブルにつきながら、30分ほど食事を待たされるのは、ちょっと辛い。とくに、(ISC)2側の参加者には、ちょっと退屈な時間である。
さて、オープニングの後、展示会場を少し見て回る。展示の規模は、日本で言えば、幕張あたりで開催される展示会に匹敵するのだが、中身はといえば、監視カメラシステム、セキュリティゲート、入退室管理、はては防護服や警棒といった内容がほとんど。その片隅に、(ISC)2のゾーンがひっそりとあって、少しだけサイバー系の展示がある。しかし、毎年思うのだが、物理的警備の世界は、サイバー側以上にIT活用が進んできている。監視カメラシステム一つをとっても、最新技術のオンパレードである。こうしたものを見るのは、サイバー側の人間にとっても、いい刺激になるだろう。
さて、最初のセッションは、「デジタル免疫システム」という話。スピーカーは大学の先生で、どちらかといえば、コンセプト的な話。コンピュータとネットワークの世界にも、生物の免疫と同じようなシステムを導入しようという話である。軽量なエージェントをばらまいて、それが相互連携しながら、ネットワーク内の脅威を発見し対処するというコンセプトは面白いのだが、あれこれ課題は多そうである。生物の免疫系は自分の一部とそれ以外を識別する能力を持つのだが、コンピュータの世界ではなかなか難しい。ホワイトリスト的な考え方になるのだろうが、結果として自由度がかなり縛られてしまいそうな気がする。やるなら、これはOSに組み込んだ方がいい。生物の免疫系のように多様かつ多層的な防御を行うためには、アーキテクチャを根本的にいじる必要がありそうだから、アドオンでやろうというのには無理がありそうに思うのだが・・・・。この先生的には、現在絶賛売り出し中、パートナー、スポンサー募集中とのことである。ちょっと気の長い話だが、そうこうしている間に、某MSとかGoogleあたりが、そのうち何かやってしまいそうな気もしないではない。
昼食をはさんで、午後はモバイルマルウエアの話。直近の話題である XcodeGhostの話などもまじえて、最近のモバイルマルウエアの傾向などを話してくれた。しかし、このあたりからちょっと私の状態が怪しくなってくる。昼飯で腹がふくれたとたんに、睡魔がうごめきはじめ、このセッションの最後のほうは、意識が途切れがちに。やはり、到着翌日からはちょっときつかった。眠気が出てくると、英語が頭をすり抜けてしまうので辛い。ところで、Xcodeの話に戻れば、某大陸国家の「仁義なき戦い」ぶりには敬服する。Lenovoのバックドア問題もそうだが、「やったもん勝ち」的発想はさておき、(西欧的)世界の「常識」が通用しないのが一番困る。未開・未熟な国家だからしかたがないというのはやさしいが、なまじ存在感があるだけに困りものだ。北のヒグマ国家もそうだが、ちょっと性根を入れ替えてもらわないと周囲が迷惑するのだが。
最後のセッションまで展示会見学時間が1時間半あるのだが、さすがにちょっと辛くなって、一度宿に帰って一休みすることにした。
そういえば、アナハイムのディズニーランドも60周年らしい。どうやら、ASISが今回アナハイムを会場に選んだのは、偶然ではなさそうだ。
で、宿に帰って、一休み・・・で終わるはずもなく、結局、夕方まで寝てしまった。まぁ、最後のセッションはあまり面白そうではなかったので、よしとしよう。
日が沈んで、ちょっと腹も減ってきたので、軽く飯を・・・と近くのファミレスに出かけた、ビールを飲んで、サラダとスープで軽く・・・と思ったのだが・・・。
これは、ちょっと油断した。まず、値段から想定すべきだったのだが、「軽く」にはほど遠い量である。まぁ、半分以上が野菜なのが救いだが、それでも、食った後の「食い過ぎ感」はかなりのものである。
さて、宿に戻ってこれを書いている間に、今夜もディズニーの花火が上がっている。
今夜はなんとかうまく寝て、明日は寝落ちしないように頑張ろう。
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