今日もいい天気。朝の気温はほぼ昨日と同じだったが、昼間は少し気温が高かったかもしれない。
今日の昼休みは久しぶりに、ゆりかもめ沿いの散歩。ららぽーと脇からl公園を抜けて、ゆりかもめの高架沿いに出た。
今日は昨日とは違って、カーテン状に薄く広がった雲。これも面白い。
しかし、この天気とはうらはらに、なにやら不穏なニュースが多い最近。今朝は「核分裂」の文字が紙面や画面に躍った。メディアは、どうやらメルトダウンの最悪なシナリオである「再臨界」と結びつけたようだ。たしかに、東電の発表でも「臨界」の可能性は否定できないという表現はあったようだが、ここは少し言葉の整理が必要だろう。たとえばこうだ。原子炉はウラン(質量数235のもの)の「核分裂」で生じるエネルギーを利用している。ウランは核分裂を起こすと2~3個の中性子と分裂したカケラに分かれる。このカケラが核分裂生成物つまり核のゴミであり、その多くが強い放射能を持っている。一方で、中性子はエネルギー(速度)が高く、そのままでは、外に飛び出してしまうが、たとえば水のような物質の中を通るとエネルギーを失って減速し、近くのウランの原子核に当たると吸収されることがある。中性子を吸収したウラン235は不安定になり、核分裂を起こして、さらに2個から3個の中性子を放出する。こうして、ある原子核の分裂で発生した中性子が、次の原子核に当たって分裂させることを「連鎖反応」という。しかし、これだけでは原子炉を稼働させるには不十分だ。減速しても中性子が次の原子核に当たる確率は低い。もし、核物質の量がある程度多ければ、この確率があがり、1回の核分裂で発生した中性子がさらに平均して1個の原子核を分裂させるレベルにまで達する。こうなると連鎖反応による核分裂が継続して発生することになる。これが「臨界」で、それに達する核物質の量が「臨界量」だ。この「臨界量」未満の状態では、連鎖反応が発生しても、やがてそれは止まってしまう。ただ、完全に止まるかと言えば、そうではなく、ごくまれに中性子によらない自発的核分裂などが発生すると、そこから連鎖反応が始まることもある。臨界前であっても、一部で連鎖反応が散発的に発生していることもあるわけだ。
ちなみに、余談だが自発的に核分裂を発生する確率は、主な核燃料であるウラン235よりも、連鎖反応を起こさないため燃料にならず、不純物扱いされるウラン238のほうが高い。もちろん、高いと言ってもそれだけで大きなエネルギーになるほどの数ではない。だが実際に、原子炉でウラン235の連鎖反応が始まるきっかけは、確率から言うと不純物として含まれるウラン238が自発的に核分裂した中性子である可能性のほうが高そうだ。
話を戻して整理すれば、「臨界」とは連鎖反応が継続して発生するような状態のことである。臨界を越えた場合、連鎖反応はいわば、ねずみ算的に拡大し、放っておけば暴走する。たとえばウラン235の濃度が非常に高い場合、この暴走は爆発となるのだが、一般に数%の濃度しかない原発燃料の場合は爆発までには至らず、炉心溶融や格納容器の破損、副産物の水素の(化学反応による)爆発というようなことが起きることになる。もちろん、これは深刻な事態だ。そうならないように、原発では中性子を吸収する材質で作られた制御棒を燃料棒の間に差し込んで、中性子の量を制御することで、反応を安定させている。3月の事故は核反応の暴走ではなく、停止後の炉心を冷却できなかったことによる溶融である。
溶融した炉心、つまり燃料を含む溶融物は格納容器の底にたまる。ここで危険なのが、熔けた核燃料が臨界量以上、集積してしまうことだ。こうなると、再び連鎖反応が「継続して」発生すること(「再臨界」)になり、制御棒という制御手段を失った原子炉は、格納容器や建屋の底を溶かして地盤にまで沈んでいく。これが、いわゆる「チャイナシンドローム」のシナリオである。実際はあり得ないのだが、アメリカで事故が起きたら熔けた核物質が地球を突き抜けて中国まで行くぞ、という意味の言葉で、炉心溶融による連鎖反応の暴走を表すものだ。3月には早い段階で、これを防ぐために中性子を吸収する、つまり制御棒と同じ働きをするホウ素を含んだ水が注入されていた。また、熔け落ちた燃料の量が少なかったこともあってか、ここまで深刻な事態にはいたらなかったわけだ。
だが、今回、2号機の炉内のガスに含まれる放射性物質の計測を始めたところ、11月1日から、核分裂生成物であるキセノンの同位体が検出されるようになった。(東電の資料参照)この同位体のうちキセノン135は半減期が約9時間と短いため、10月28日の計測以降に生成された可能性も高い。ただ、少なくとも炉内の温度などに大きな変化は見られないため、局所的に連鎖反応が高まった可能性もあるようだ。これが一時的な「臨界」と呼べるものかどうかはわからないが、少なくとも「チャイナシンドローム」のような事態でないことは確かだろう。なので、過度の不安を抱くことなく推移を見守りたいと思う。
もう一度、整理すれば、核分裂→連鎖反応→臨界→暴走、という段階があり、現在確認されているのは最初の1段階から2段階にかけての部分だけである。(参考までにWikipediaへのリンクをつけておくが、かなり専門的な記述なので、物理が苦手な人にはお勧めしない(笑))
そして、現在、この3段階目に進むことを防ぐために、再度、ホウ素を含んだ水が注入されている。11月2日の段階では、半減期の短いキセノン135の量はあまり変わっていない。つまり、継続して生成されている可能性もある。東電の資料では、計測限界値が変動しているので注意が必要。たとえば、11月2日にキセノン133は検出限界未満になっているが、検出限界値が前日より一桁上がっているため、こうなったものと思われ、実際は前日と同程度もしくは増加している可能性もある。また10月28日の計測では、これに比べて検出限界が5桁から6桁高いので、ここでの検出限界未満は単純比較できないものだ。もしかしたら、実は同じレベルで放出が続いていた可能性もある。資料では「評価中」となっており、まだこの検出量自体がどういう意味を持つのかすらはっきりしていないようなので、言葉が一人歩きしてしまっている感は否めない。より詳しい評価結果を早くだして、不安を払拭してほしいものだ。
ところで、今日の散歩は晴海大橋のたもとまで。久々に距離を稼いだかもしれない。このあたりの空き地は草ぼうぼうになっているのだが、いつの間にか道路が造られている。でもまだ立ち入り禁止だ。
この道路は空き地に入って直角に曲がり、晴海大橋のたもとに続いている。空き地はあいかわらず草ぼうぼう。ススキが秋っぽい。
そして晴海大橋のたもと。こちらが道の出口側。
何気なく撮った一枚に、バッタみたいな虫が飛んでいるのが写っていた。結構でかい虫だ。
ここまで来て時間切れ。歩いて帰ったのでは間に合わないので、ゆりかもめを一駅だけ利用。これは、ゆりかもめ乗車中の景色。
そうそう、不安といえば、世田谷の放射能騒ぎ。ラジウムがごろごろ埋まってるってのも物騒な話。まぁ、その上にテントでも張って暮らしていなければ、たぶん問題ない量なのだが、立て続けにこんなのが出てくると、みんな疑心暗鬼になるな。また、ガイガーカウンターの売れ行きがよくなるんだろう。昔は少量の放射性物質の取り扱いはかなり杜撰だったから、ありうる話だと思う。今だから言うが、大学の頃、検出器校正用の中性子線源(Rd-Be結晶)の缶を床に落としてぶちまけたこともあった。その後、雑巾が登場したわけで・・・・。もちろん、拭いたあとは黄色いドラム缶(例のマーク付き)に廃棄したわけだが・・・・。検出器の校正用に様々な放射性物質(セシウム137とかコバルト60とか・・・・)があったのだけど、誰かが持ち出そうと思えば持ち出せたに違いない。今だとちょっと考えられないだろう。ただ、私はちょっと騒ぎすぎだと思う。不安ではあるが、その場に長時間とどまらなければ、それほど大きな影響はない量だと思うので、見つけたら淡々と処置すればいい。どうしても不安ならば、この際だから、よってたかってそういう昔の(負の)遺産を探してもいいんじゃないかな。結果的に安心感が増すかもしれない。
不安は別の不安を呼びがちだ。ウランの連鎖反応よりも、社会的な不安の連鎖反応のほうが別の意味で恐いかもしれないなと思う。セキュリティの世界でも、最近はなんとなく疑心暗鬼になっているし、三流夕刊紙みたいに不安を煽るだけでなく、正しい知識や、いろんな不安材料(脅威)から身を守るてだてを考えさせるような中身をメディアや専門家は提供しなくちゃいけないんだろうなと思う。
さて、明日は文化の日。会社帰りの豊洲駅はあいかわらずの混雑。早く工事が終わればいいな・・・と思ってふと見たら・・・
工事期間の終了年度が上書きされて、いつの間にか1年延びてるし・・・・。終わるのは再来年か?、なんとかしてくれ。
長文書いていたらもう日付が変わってしまった・・・。寝なくては・・・・。では、また。