今朝はちょっと天気も回復して気分は持ち直し。今日は、午前中に某協会の幹事会、午後はちょっととある大学の先生との打ち合わせなどあって、終日外出。まずは西新橋の某協会に行って、それから横浜に移動。
この時間になると、また空もどんよりと曇り始めてきた。横浜に移動して、駅前の地下街で昼食。実は、某協会のリスク評価検討WGの活動に興味をもっていただいた先生がいらっしゃるので、ちょっとお話に伺った次第。統計手法を使ったリスクの定量化を模索しているのだが、そろそろ試行錯誤から、なんらかのモデル作りをはじめようとしている矢先だったので、願ったりかなったり。経済学の面での定量化モデル作りなどをされてきた先生で、今後、いろいろとアドバイスもお願いできそうなので、いい関係を作って行ければと思っている。
さて、ニュースを見ていたら、なにやら東京の水道水で放射性物質が検出されたとか。福島などでも、野菜や牛乳などからの検出があいついでいる様子。案の定、かなりあちこちで過剰反応が出ている。今日、先生ともお話ししていたのだけど、リスクが定量的に可視化できないと、どうしても過剰に反応せざるを得なくなるのは、情報セキュリティと同じ。放射性物質が基準値以上検出された、という情報のレベルは、情報セキュリティで言えば「会社支給の携帯電話やPCをなくしました」、という第一報に等しいと思う。では、それにはどういう情報が含まれていて、それは漏れるとどういう影響があるのか、また、拾われた場合にそのPCからデータを抜けるのかそれとも暗号化されているからまず無理なのか、そういう情報があってはじめてそのリスクを評価できる。それと同じで、本来、様々な種類がある放射性物質についても、その種類(核種)とその物理的、化学的特性によってリスクや対策が異なるはずだ。たとえば、前にも書いたが、今回検出されたヨウ素の放射性同位体の一種である質量数131のものは、半減期が8日ほど。つまり、あらたに蓄積がなければ、その放射能は8日で半分になる。一方、セシウムの場合、質量数が134の同位体は2年ほど、135のものは230万年、137のものは30年あまりとヨウ素に比べるとかなり長い、つまり、長期間放射能が残留する。これが物理的な性質。一方で化学的な性質からみると、ヨウ素は人体に必須の元素のひとつ。甲状腺への蓄積が懸念されるので、長期間、連続して摂取してしまうと、半減期にかかわらず影響が出る可能性がある。セシウムは、やはり必須元素であるカリウムと性質が似ているため、人体内で置き換わる可能性があり筋肉などに取り込まれる。但し、セシウムは体内では代謝による半減期が70日程度(by Wikipedia)と言われており、放射能の半減期に比べるとかなり短い。大量に摂取すると危険だが、相当の余裕をもって設定されてる現在の安全基準を少し超えた程度では、長期間摂取し続けなければ、ほとんど影響は出ないと言えるだろう。つまり、いずれも長期間それにさらされるような環境にないならば、現在検出されている量ではリスクは少ないと言える。ただ、放射性セシウムに汚染されてしまった農地は汚染除去が必要になると考えられる。つまり、こうした前提から見れば、今回の農産物などの一時的な出荷停止や、飲料水に関する警告と、一般の人々への危険は少ないという説明は矛盾しないだろうと思う。私はそういう意味では専門家ではないが、一応、学生時代に核物理を勉強していたので基礎知識はあるつもりだ。(まぁ、その程度のレベルではあるのだけど、「ど」素人ではないので・・・)
こういう説明はなかなか難しいのだが、メディアに対して政府はきちんと説明をし、メディアはそれを正確に報道してほしいと思う。恐れることはないという言葉に何度も騙された国民は疑心暗鬼になりがちだ。専門家の見解も含めた論理的な説明が必要だと思う。ただ、これらが一種の確率論であることも忘れてはならない。なにごとも絶対はないのだが、鉄道事故を恐れて電車に乗らないなどということがないように、過剰に恐れてはかえってマイナスになるようなものだと思う。
さて、今夜も電力需給はなんとかバランスしているみたいだ。ただ、慢性的な不足が懸念されるので、恒久的な節電策は考えておく必要があるだろうと思う。情報セキュリティでの大きな誤解の一つに、セキュリティを考えれば多少の不便は許容すべし、という考え方がある。でも、私はこれは一種の思考停止だと思っている。特に我々技術屋は、セキュリティを高めつつ、どうしたらより便利になるかを考えるという欲張り根性が必要なのだ。困難なときほど技術は進歩する。今回の電力危機も、利便性を高めつつエネルギー消費を抑える技術を開発する大きなチャンスだと思っている。家庭でも生活の質は重要だ。これは社会の活力にもつながる。どうしたら生活の質を落とさずに節電ができるか、みんなが知恵をしぼることが必要だ。
コメントする