暇つぶしに、CERN(欧州核物理研究所)のサイトを見ている。ここは世界最大の粒子加速器LHCで有名なスイスにある施設。LHCの実験は、当初、軽い陽子(水素イオン)の衝突実験から始まったが、最近、重イオンである鉛イオンの衝突実験を始めた。早速、従来の米国の加速器が金イオンの衝突で発見した事象を簡単に確認したばかりでなく、どんどん新たな領域に踏み込みつつあるようだ。ほとんど正面衝突に近い形での衝突も多数観測されているようで、その瞬間、原子は砕け散り、クォークとグルーオンの混ざった液体に近い状態になるそうだ。ここから、さらに多数の粒子が生まれ飛び散り、消えていく。その過程を追いかけることで、ビッグバン直後の宇宙の状態に迫ろうというのだ。
ちなみに、LHCのリング上には複数の衝突実験場があり、異なる種類の検出装置が置かれている。そのひとつ、ATLASのサイトはなかなかおすすめ。リアルタイムの実験の様子を見られるほか、LHCの様々なステータスを見られるダッシュボードにもアクセスできる。
画像右上のリング上の画像が、現在実験中の検出器で検出された粒子の軌跡だ。左側のパネルは、LHCの様々な状態を監視できるダッシュボードである。なんとなく見ていて飽きないというか、科学者気分に浸れて楽しい。
LHCは、来年にかけて、現状での最大エネルギーでの実験を行った後、一旦改修を経て、14TeVという最大衝突エネルギーを目指すことになる。よりビッグバンの瞬間に近づくことで、理論上予測されながら発見されていない新たな粒子や現象、たとえばマイクロブラックホールや、重力エネルギーの高次元への拡散などの実証が期待される。科学好きとしては、なんとなくわくわくする。CERNの実験の様子は、Twitterなどでも随時流されているので、興味がある人はフォローしてみるといいだろう。
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