迷走与党(民主党)に自己崩壊をはじめた野党(自民党)、初心者与党に初心者野党、どちらも互いのあり方を批判してきただけに、身動きが取れないという皮肉。普天間問題に象徴される、複雑な政治課題の蓋を安易に開いてしまったのは、野党感覚で選挙を戦った民主党。さすがに自民は、おそらくこの結果を予想していただろうと思う。
しかし、だから今の結果がすべて悪いかといえば、そうではないと思う。少なくとも、普天間についてはこの問題の根深さが浮き彫りになった。沖縄が基地問題で背負っている負担も改めて浮き彫りにされたし、これまで自民党政権下で蓋をされてきた民意も白日の下にさらされた。このことはよかったと思うし、この問題では、まず譲らないであろう米国にも認識はされただろう。少なくとも、これまで以上に米軍は地元に気を遣うことになろう。
でも、ここから先はまだ闇の中だ。はたしてどこに落とすつもりか。戦略的に見て、沖縄は米軍にとって、現在、アジアで最も重要な拠点だろう。ソ連なき今、もうひとつの大陸国家ににらみをきかせる最高の位置(遠すぎず、近すぎず)にあるからだ。結局、また外圧だのみで、譲らない米国を理由に、大風呂敷をたたみにかかるのか。地元を期待させて、結局何も変えられない、という意味では、これは政治的には大きな罪悪だと思う。
今回の問題は、短期に解決は難しい。だが、少なくともこの問題にまた蓋をかぶせるようなことはしないでほしいと思う。これは、外交としても大きな政治課題だ。多少時間をかけても、沖縄の現状を変えていくような政治を期待したいものだと思う。
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