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Ghost in the cloud

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最近、脳波で機器をコントロールする技術がどんどん進んでいる。既に、簡単な操作ならば少しの練習でできてしまう機器が出回りはじめた。これは障害を持つ人にとって大きな助けになるだけではなく、健常者のためのコンピュータユーザインターフェイスとしても有望視されるものだと思う。

人間の脳の不思議なところは、訓練でどんどん新たな動きを学習できることだ。たとえば、運動に関連する脳波を拾い上げることはできるが、実際にそのパターンが何を意味するかは、最初は機械も脳もわからない。これは推測だが、おそらくある脳波を特定の動きに置き換えて視覚化することで、それが脳にフィードバックされ、脳の中で関連づけが行われるという学習過程の積み重ねなのだろう。

ただ、少し危惧もある。本来、別の意味を持つ脳波にそれとは異なる意味づけを持たせてしまったらどうなるのだろうか。それが心理的な問題に結びついたりはしないだろうか。GUIでは、マウスの動きが仮想的な運動として認識されるような学習が行われるのだが、これは実際にマウスを動かすという手の運動と結びついている。しかし、こうした実際の運動と結びつかないような脳波パターンをコンピュータの動作とひもつけてしまったら何が起きるのだろうか。実は、数年前、ネットでそんな話を読んだことがある。当時は眉唾と片付けてしまっていたのだが、今から考えると、もしかしたら・・・と思う内容だった。

ある技術者が、脳波に意味づけを持たせて、それを記号化してネットで通信するという研究を始めた。最初は、ランダムに選んだフラクタル図形と複数部位の脳波のフーリエ変換を対応させて、それを視覚にフィードバックさせることを繰り返したのだそうだ。もちろん、被験者本人の意識には単にランダムな図形が表示されているとしか感じられない。これを数週間繰り返してから、一定時間表示された図形を記録しておき、時間をおいてから被験者に見せるという実験を行ったそうだ。そうするとその瞬間に脳波パターンがその図形が記録された時と同じになり、被験者には、その時考えていたことがデジャブのようによみがえったというのだ。

この技術者は、さらに実験を次の段階に進めた。今度は、ある人の脳波を基準に作ったパターンを他の人に共有させる試みだ。最初は単純な色、基本図形、単純な言葉などからはじめ、段階的に、より複雑な風景や文章、音楽、さらには抽象的な概念に進んでいく学習過程を数ヶ月間行ったところ、不思議なことに、脳波をパターン化した図形で、単純なコミュニケーションができるようになった。つまり、このパターンを思考を代弁する一種の抽象言語として脳が学習してしまったのだ。言葉に比べると正確さには欠けるが、感情や感覚、印象などはかなり正確に伝わる。受信者にそれを言葉にしてもらい、送信者に返す試みも行ったが、おおむね送信者の考えと一致した内容になっていた。不思議なことに、違う国の、言葉が違う人たちでも、この方法ならば、言葉を超えたコミュニケーションができたのだ。ちょうどこれは一種のテレパシーのようなものである。これはすばらしいコミュニケーション手段になるはずだった。しかし、事故は突然に起こった。被験者の一人が突然、意識を失ったのだ。互いに相手の脳波パターンを見ながらコミュニケーションが可能かどうか、という実験の最中だった。記録によれば、その直前の数十秒に異常な脳波の起伏が繰り返し現れていた。どうやら、互いに相手の脳波パターンに影響を受け、それがループを構成して、一種のハウリングが発生したらしい・・・。その後、様々な治療が試みられたが、その被験者の意識はとうとう戻らなかった。身体的には何も異常がないのに、意識だけがない状態、いわば植物状態に陥ってしまったのだ。

問題はそれだけでは終わらなかった。今度は、その相手方の被験者に奇妙な現象が発生したのだ。突然、聞いたこともないような言葉をしゃべり出したり、まったく違う人格が出現するという、いわゆる多重人格の症状が現れたのである。しかも、その人格、言葉は意識を失った被験者のものに近かった。もしかしたら・・・・、実験の最中に一方の人格が他方へ移動してしまったのだろうか・・・。まさかそんなことはないだろうと誰もが考えた。そして、危険な副作用が出るから、という理由で実験は中止された。

しかし、話はそれで終わらなかった。この実験を行っていた技術者自身が、その後、意識不明に陥ってしまったのだ。身内の話だと、実験の失敗を苦にして、数ヶ月、実験室にこもって原因を調べていたらしい。ある日、心配した家族が部屋を覗くと、彼は倒れていた。あわてて病院へ運んだのだが、結局、現在にいたるまで意識は戻っていないとのことだ。事件性を疑って警察が捜査したところ、彼のコンピュータから、一種のウイルスコードが発見された。このコードは、現在の分類で言えば、いわゆるボットに相当するものだ。ソースコードが残っていたので、それが彼自身の手によるものであることがわかる。そして、そのボットは、フラクタル図形が構成するパターンを媒介するように作られていた。さらに、rootkit技術を使い、ウイルス対策ソフトでも検知が難しいように作られている。彼はいったいこれを何のために使ったのだろうか。警察は多くの専門家に解析を依頼したが、結局、結論は出なかった。ただ、このボットがすでにネットに放たれており、世界中の数十万台以上のPCに感染している可能性があることはわかった。さらに、このボットは自己変異を繰り返しており、一旦駆除しても、そのうちまた変異型に感染するというきわめて駆除が難しいものだ。おそらくは、自己変異で新しいOSにもどんどん対応していくので、ネットがある限り、どこかで生き残っていくのだろう。おまけに、P2Pベースで通信を行うため、サーバレスのボットネットを構成することができる。さて、彼はどうしてこのボットを作り、ネットに放ったのだろうか。それは、誰にもわからない。

ただ・・・・、身内や知人たちに、その後不思議なことが時々起こっているそうだ。意識を失った彼からのメールが届くのだ。僕は元気にしているから心配しないでくれと。いつも近くで見守っているから・・・と。

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このページは、風見鶏が2010年4月 1日 00:00に書いた記事です。

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