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心もよう

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うつ病と診断されて、治療をはじめてから1年半、薬も次第に減り、もうあとは止めるだけの量まできた私。自分ながらに、比較的うまく立ち直れたと思ってはいるのだけど、これはかなりラッキーが重なった結果のようにも思う。

今日、やはり2年ほど、うつを患って治療を受けているという知人と話をした。様々な事情から、仕事を休むことをせず、投薬治療を受けてきたものの、薬が増える一方で、なかなか改善せず、最近、思い切って休職を決意したという。休職したまま、戻らない可能性も高いのだとか。

私の場合、幸いにも会社の制度も整っていて、周囲への気兼ねはあったものの、思い切って振り払って休職できたのだけれど、なかなかこれができる状況にない人も多いのだという現実を見せつけられた気がした。そう思うと、自分自身の立ち直り方がそれでよかったのか・・・・などと少し余計なことまで考えてしまったのだけど、これは、ある意味で自分の頭を整理するいい機会にもなったかもしれない。

会話していて、自分の経験を話しながらも、それに違和感を感じている自分がいた。状況があまりに違いすぎるから、なんとなく言葉が空回りする。中途半端な励ましよりは、もう全部忘れてのんびりしなさい・・・というべきなのだが、その言葉を簡単に言えない。自分はそうしたことが、その人には難しい現実があるからだ。教科書通りに「聞き手」にまわりながらも、なんとなく不思議な後ろめたさを感じていた。

心のケアは、人それぞれの状況によって変わる。自分の経験が必ずしも人の役にたつとは限らない。ただ、このような時に、うまく相談にのれない自分が歯がゆかった。もちろん、それが普通であることは承知しているのだけど。

自分の場合、独り身であることもあって、きままな生活をしながら充電することができたのだけれど、こういうケースはむしろレアなのだと思う。社会生活をしている以上、ストレスは避けられない。気がついているストレスならば、避けようもあるし抵抗もできるのだけど、案外、心に重くのしかかってくるのは、自分が気づいていないか、もしくは気づいていても気づかぬふりをして否定してしまっているようなストレスだと思う。知らぬ間に、がんじがらめになって、心が窒息してしまうのだ。敵の姿が見えないから、あがけばあがくほど息ができなくなる。何がストレスかもわからないから戦いようがない、ならば、ストレスの原因になりそうな物を一旦全部排除して、まずは心の深呼吸から、というのが基本だと、教科書的には書いてあるのだが、現実にはそれが難しい。私の場合は、たまたまそれが基本に近い形でできる環境を与えてもらっていたということなのだろう。

ただ、少し振り返ってみるならば、とにかく自分が「気持ちいい」と感じることをひたすらしていたような気もする。ならば、全部は無理でも、少しずつ、どこかで何か自分が気持ちよく感じる方向に舵を切ることができれば、それは第一歩になるのかもしれない。ストレスと闘う必要はない。逃げてもいいのだ。いや、まずは逃げるべきなのだろう。いつかはまた戦うことが必要になるだろうが、それは完全に充電が完了してから思う存分やればいいのだと思う。少なくともそういう気持ちでいられれば、いい方向に向かうのだろう。焦るなと言っても、休んでいる間も周囲は走っているのだから、それは難しいのかもしれない。ならば、今はしばらく借りを作っておいて、後で倍返しするくらいの気持ちでいてもいい。これも気の持ちようなのだろうけど、性格的に難しい人も多い。むしろそれが下手な人が心に痛手を負ってしまう。そこは、うまく自分を納得させる(騙す)ことも必要だろうと思う。そうして、みんなが感じるある種の「うしろめたさ」を、うまく消してしまうことが大きなポイントなのかもしれない。

私にしても、まだ治療のステップは完結していない。時々は自分を見直してみることも必要なのだなと思った次第。知らず知らずにまた、負のスパイラルに落ちってしまわないように。

まだ道半ば・・・・なのだから。

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このページは、風見鶏が2010年3月25日 21:43に書いた記事です。

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