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雲をつかむ話(2章-2)

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なんとなくネガティブな響きがするが、決してクラウド全般が儲からない、といっているわけではない。現に、大手はかなり利益を上げる商売をしている。問題は、これのまともに太刀打ちしても儲けにならないという点だ。では、どうやって利益を享受していくのか、このあたりは今のところビジネスモデルとからんで、私の会社の企業秘密でもあるから、書くのは最後にしておくことにしよう。

ここで、世の中でクラウドと呼ばれているものを、ちょっと整理してみる。

まずは、漠としたクラウドコンピューティングの広義の意味だ。「クラウド」つまりは、ネットワークの模式図に書かれる雲のマーク。広域通信網、多くの場合はインターネットを意味する絵柄である。つまりは、インターネットを使ってコンピュータリソースを共有し、効率よく、低価格の情報処理を行おう、ということだ。

たとえば、インターネットを使ったグリッドコンピューティング、皆さんご存じの Seti@homeに代表される、大規模な計算を分割してネット上に分散して、大量のPCを使って高速に計算しようという、いわばクラウドスパコンなども、クラウドコンピューティングだと言えるだろう。また、悪名ばかりが広まってしまったP2P技術は、こうしたグリッドの基盤になる技術であると同時にデータ共有、分散処理の基盤にもなりうる。実際、最近のPCグリッドはP2P技術の基盤の上に作られているものも多い。私は、これらの技術が本来のクラウドコンピューティングの最下層の基盤だろうと思っている。今のところ、これらはまだ不完全だが、よりリアルタイムに最適化された分散処理が可能になれば、クラウドの可能性は格段に広がるはずだ。

しかし、こうして多数のコンピュータリソースを統合することが出来ても、大量のデータ解析やシミュレーションのような用途以外では、そこまで大規模な計算能力を必要としない。そこで、リソースをうまく配分して、個々の処理、またはOS環境に振り分けるための処理レイヤ、つまり仮想化ハイパーバイザが必要になる。今のところ、世間ではこのレイヤがクラウドの最下層だと認識されているが、本来ならばこの下に分散リソースの管理レイヤが存在するはずだ。現在の仮想化ハイパーバイザはきわめて限定的な形で、このレイヤを一部サポートしているが、完全ではない。

ともあれ、なぜ、クラウドに仮想化が必須なのか、それは、そのうえで動く環境に意識されない形で、各種のリソースを制御し、配分する必要があるからである。

(続く)

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このページは、風見鶏が2009年12月 8日 07:53に書いた記事です。

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