いよいよ始動した新政権。さて、その出足はどうだろうか。まぁ、あれこれ批判もあるし、必ずしも順調にはいっていないようにも見えるが、少なくとも足を前に進めようとはしているようだ。
もともと楽な公約ではない。時間はかかるだろうが、着実に、マクロな視点から政策を進めていってほしい。一時的にはマイナスも出るだろうが、国民全体にとって100点満点はそもそもありえない。5年、10年、20年といったスパンで見て、何がこの国を根底からよくしていくことなのかということを見失わないでほしいと思う。
八ッ場ダムの話がその象徴だ。メディアでは地元の反対意見のみが強調されているが、この話こそ、もっとマクロにとらえるべきだ。そもそも、地元の反対論の理由は様々だ。住民の多くは、親の世代の長年の反対運動に辟易した第二世代。心配しているのはこれ以上、生活がかきみだされること。ダム中止で行われるはずの生活関連投資も減らされるのではないかとの警戒感のように見える。しかし、自治体や首長の反対理由はかなり微妙だと思う。1都5県がまとまって・・・とはいうが、反対理由はそれぞれ違っているようにも見える。これらをきちんと区分けして個別に対処していくことだ。メディアもそのあたりは考えてほしいと思う。
なによりも、この話が、時代遅れの巨大土建案件一層の旗印となるのであれば、多少金がかかってとしても推し進めるべきだろう。これは国レベルの話だ。費用の問題は、この案件だけに矮小化されるべきではない。住民の生活補償を十分に行い、必要な投資をして地元の振興をはかることが重要だ。それによって、今後、様々な無駄遣いが高くつくことを示して、無駄な公共事業をなくしていくことが重要だ。すこし長い目で見れば、十分に効果は出ると思う。
自民党の景気浮揚策は、公共事業や建設投資と庶民の消費たきつけに偏っていたと思う。たしかに建設投資は雇用を増やし、地元に有益なように見えるが、土建屋のヒエラルキーを考えると、そのカネが十分に地元や住民に還元されるとは考えにくい。雇用に関しても、低賃金で不安定な一時雇用を増やす効果がそのほとんどだ。これは、ある意味で今の格差社会を生んだ元凶でもあろう。
一方、わずかばかりの金をばらまいて、消費ムードを高め、それ以上の出費を庶民にさせてしまうというのも愚策だ。これに乗せられてしまうのは、金を使いたくても使えない人たち。堅実な人たちは貯蓄や生活のためにあてるだろうが、まんまと乗せられてもらった以上のカネを使って、逆に生活に困る人も少なくないんじゃないかと思う。前にも書いたが、消費を増やすには、まず金を持っている人に金を使ってもらえるようにする必要がある。今のように、不安ばかりの社会では、堅実な人ならば消費を抑えて貯蓄にまわすだろうし、多少のばらまきをやってもそれはかわらない。北風と太陽ではないが、自民党・公明党の政策は北風のようだ。弱者を吹き飛ばして裸にし、それ以外の人は守りを固めてしまう。民主党には是非、太陽政策を期待したい。不安感を払しょくすることが、今の社会の様々な問題、たとえば少子化などを解決することにつながると思うから。
真価はこれから問われることになる。
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