ラスベガスに来てはや4日目。CSI SX も今日でおしまい。入れ替わりに Interop が始まりました。今年の CSI SX は、不景気の影響か、参加者が少なかった昨年暮れの CSI Annual に比べても、もう一段少ない感じで、スポンサーがシブくなったせいか、コンファレンスバッグなど例年のスポンサー提供品が大幅にカットされていました。
そんな中で、はたして来ている人達はどうなのか、というところが気になっていたのですが、この状況下で来ている人達は、みな、それなりにこの不景気と戦ってなんとかしのいでいる人達ではないかという印象です。
初日のジェネラルセッションの最初のテーマもこれ。内容は、予想通りというか、不況下で逆にリスクが大きくなっているから気をつけてね、というもの。クビになった社員や契約社員の怨恨犯罪、リスクに無頓着な形でのアウトソースやオフショアリングの拡大などをあげて、セキュリティのためのリソースの一律的なカットに警鐘をならすものでした。とくに、オフショアリングについては、地域的、文化的な違いがリスクを生むばかりでなく、時には、その国のIT政策、制度などもリスク要因になりうるため、契約の内容に必要なセキュリティ上の要件を盛り込むこともちろん、その他の環境にも注意が必要だとしています。しかし、一方で、この経済状況下での考え方については、きちんとしたリスクアセスメントを行って、優先順位をつけてやるしかない・・・と教科書通りの話にとどまったのが残念です。実際、きちんとリスクアセスメントを行うためには、それなりの人的リソースつまり固定費増が必要となり、設備投資などの一時的な費用が中心のものよりもさらに難しいからです。もちろん、組織によって状況は違うので、一般論では難しいのでしょうが、もう少し踏み込んでほしかったかなと思います。
今回の大きなテーマのひとつが、クラウドコンピューティングにおけるセキュリティでしたが、グーグルが考えるクラウドセキュリティについての話もありました。
グーグルは、google appsなど、積極的にクラウドを進めていく立場なので、自分たちがいかにセキュリティをしっかり考えているかということをとにかくアピールしたかったようです。データセンタのセキュリティ、地域分散されたバックアップ体制とデータ保護、セキュリティや統制の監査体制といったことについて述べたあとで、こんなスライドも。
自前でシステムを管理すると大変だよ~ということを言いたかったのでしょう。ただ、後でも出てきますが、クラウドの利用も含めたアウトソースは結構ややこしい問題を含んでいるようです。
そして、ランチ。メインディッシュがちょっとさびしい気がしたのは私だけではなかったようです。小食の日本人にはちょうどいいですが、大食いの現地人(笑)にはちょっとものたりなかったかもしれませんね。
まぁ、道を歩いている人たちの体形を見ると、もうしばらく不景気が続いてもよさそうな気もしますが・・・・(笑)
午後は仮想化まわりやクラウド関連のセキュリティねたのセッションをいくつか聞きました。仮想化におけるセキュリティは、ゲストOSレベルでは、これまでと何もかわらないものの、ハイパーバイザのレベルでのセキュリティはより重要になります。このレベルでの脆弱性や、管理上の問題は、ゲストOS全体に影響しますし、また、ハードウエアの障害などの影響も大きくなるため、これらについては非仮想環境よりもさらにきちんと考えていく必要がありそうです。ハイパーバイザの管理権限も一律ではなく、いくつかのグループに分けて管理するようなモデルも示されていました。
今週のラスベガスの気温は、真夏並み。最高気温は連日100度(華氏)前後で、このためか室内の冷房はどんどん強くなって、異常に寒くなっています。これはいつものことなので、ある程度想定して長袖シャツを着ていったのですが、寒さはちょっと想定を超え、体が冷え切ってしまいました。休憩時間はちょっと外に出て体を暖めないとダメなくらい。なぜか半そでで涼しい顔をしてる連中が多い中、日本組はみんな凍えてました。
さて、夜はいつもの参加者レセプションがあり、とりあえず参加。日本からは常連さん3名(S君、U先生と私)のみしかみかけませんでした。他にもいたかもしれませんが、いつものように何人もいるという状況では、さすがにないようです。レセプションでちょっと参加者と話をしたのですが、この状況下でセキュリティの予算や人員を確保することができている人達は、何年もかけて経営層との間で太いパイプを作ってきた人たちのようです。ある人は自分は5年かけて CIO を巻き込んだんだと言ってました。5年・・・ちょっとタメイキがでましたが、やはり必要なことなのでしょうね。
レセプションの帰りがけ、S君とスタートレックを見に行こう、ということになって、近くの映画館へ。
いやぁ、面白かったです。ネタバレになるので中身は書きませんが、トレッキー必見の一作でしょう。日本に帰ったらもう一回見に行こう・・。ちなみに日本では28日公開です。
・・・と、そんなことをしたのが災いしたのか、それとも昼間の寒さが災いしたのか、翌朝目が覚めたら、喉が痛くて熱っぽい感じが・・・。この時節柄、ちょっと焦りました。とりあえず、万一のこともあるので、この日はコンファレンスをあきらめて、部屋で様子を見ることにしました。少し寝て、多少マシにはなったものの、不安なので旅行保険のカウンターに電話して、病院を紹介してもらいました。しかし、その病院や教えてもらった日本人の担当者に何度電話してもつながらず、そうこうしているうちに体調も回復してきたので、とりあえずこの日は休んで様子を見ることにしました。ちなみに、教えてもらった病院に、最悪直接行こうかと思って電話番号をググってみたら、病院レビューのサイトが・・・。レビューを見て、あまりの悪さにちょっと不安になりました。スタッフがいいかげんだとか、何時間も待たされたとか、わけのわからん薬をいっぱい出されたとか、診療費をぼったくられたとか・・・・。日本の保険会社の契約先だからといって、必ずしも安心できるわけではなさそうですね。これはちょっと勉強になりました。ホテルに医者を紹介してもらうのがいちばんいいのかもしれません。
とりあえず今朝には、少し咳が出るものの体調はほぼ回復したので、コンファレンスに復帰。
今朝のセッションでは、クラウドを使う場合のセキュリティ上の問題点についての話がありました。たしかに、事業者はそのセキュリティの高さを自慢しますが、もし、何かインシデントが起こった場合、その調査をどこまでできるのか。たとえば、事業者のサーバに対してフォレンジック的なことまでできるのか、事業者はどこまで調査に協力してくれるのか・・・、といったことも問題となりそうです。特に、個人情報の場合、国や地域によって、法制度も異なるため、とりわけ国際的な企業や法規制が強い地域の企業などが、クロスボーダーのクラウドを使うと問題が発生する可能性があるとの指摘もありました。特に、クラウドの場合、データが物理的にどこに格納されているのかといことも問題にされる可能性があるとのこと。たとえば、EUや、米国内ではマサチューセッツ州など、その地域に居住する人の個人情報に対して、その置き場所かかわらず同レベルの管理を求めるところについては、困難が伴うだろうとのことでした。また、守秘契約などで法的に保護された情報を扱う場合も、最終責任はその情報を管理している企業などが負うことになるので、クラウド側で問題が起きた場合の責任分担などは、契約でしっかりと取り決めておく必要があるだろうとの指摘もありました。このあたりはなかなか難しい問題のようです。
とりあえず、そんなこんなで CSI SX も終了し、日本常連3名で昼食を食べた後、一旦部屋に戻って休憩。またちょっと体が冷えたこともあって、咳がすこし出始めたので、無理をせず午後はちょっと昼寝しました。夕方に起きだして、ちょっと体をあたためようと大通り沿いをぶらぶらと散歩してみました。
今回の宿泊先は、このピラミッドの中。コンファレンス会場は、お隣のマンダレイ・ベイホテルです。で、とりあえずラスベガス大通り(通称、ストリップ通り)を北に歩いて、例年、BlackHat が開催されるシーザースパレスのあたりまで行ってみました。
腹が減ったので、いつも行くフラミンゴホテルの下のステーキハウスで夕食。一人なので、バーカウンターに居座って、そこでステーキ(8ozのフィレ)を食べました。時々、ほかの席から客が酒を買いに来るのですが、ちょっと観察していたらみんな太っ腹。11ドルちょいの酒をたのんで、20ドルを出し、バーテンが釣りを用意している間にカウンターに1ドル置いた、と思ったら、「釣りもやるよ」と言って立ち去る客はちょっと異常にしても、10ドル前後の支払いでみんな3ドルほど置いていく・・。日本人はチップを払いすぎだといわれるけど、ラスベガスでは別なのかな・・・と思ってついつい多めにチップを払ってしまいました。まぁ、すごく気のいい兄ちゃんだったし、めちゃくちゃこきつかわれてるみたいだったので、いいかなと。(これも作戦だったり・・・^^;)
帰りはベラジオホテルの前の噴水ショーを見て、また歩いて帰ってきました。まだちょっと明るかったので、噴水ショーの観客は少なめで、歩道が歩きやすかったのはラッキーでした。いつもは大混雑になるのですが。
ラスベガスはこの不景気にもかかわらず、建設ラッシュです。どんどん新しいホテルや施設が作られています。
ニューヨークニューヨーク前の歩道橋を渡って、その上から、そろそろ灯りがつきはじめた大通りをちょっとながめて一休み。
ニューヨークニューヨークからエクスカリバーにわたる歩道橋から、ジェットコースターごしに夕陽に照らされた雲が不思議な形に見えます。雲に乗った雷神様か風神様?、サーファーにも見えるかな・・・。
そうこうしている間に食事を含めて2時間ちょっとの散歩はおしまい。ピラミッド前まで戻ってきました。ピラミッドにも照明が入って、ちょっと怪しい感じに・・・。
さて、明日はInteropの展示会を少し見て、それからどうしようかな・・・・といったところ。夕方は、ダウンタウンあたりにでも行ってみようかなと・・・・。