中越沖地震で意外だったのが、自動車メーカーへの影響だ。有力各社が軒並みライン停止に追い込まれている。原因は、ピストンリングやカムシャフトという部品の供給ができなくなったこと。地震で、この会社が大きな被害を受けたからだ。
主要各社がこの会社1社に大きく依存していたという事実は、そういう危機管理には長けていると思っていた大企業の意外な弱点だろう。以前から部品の供給が自動車メーカーの枠を超えて行われていることは知っていたが、なぜこうも多くの大会社がこの一社に大きく依存することになったのか。もちろんこの会社がきわめて優秀な(コスト、納期、品質などのすべての面で)製品を送り出していることは間違いないだろう。ただ、この一社に依存してしまうリスクをあえてなぜ冒したのか。そこには効率重視一辺倒のメーカー体質がありそうだ。トヨタのカンバン方式に代表されるリアルタイムの部品供給システムに品質を保ちながらコストも抑えて対応できる会社は多くないだろうと推測する。効率を重んじるあまりに、危機管理が手薄になってしまったのではないだろうか。
昨日の日記でも書いた、「スピードオーバー」な組織の弱点でもあるのだろう。日本流の物作りは高品質という付加価値の上になりたっていた。しかし、その高品質がもはや日本だけのものでなくなった今、次の付加価値をどこに求めるのかを真剣に考えないと、結局、骨身を削ったコストダウンやスピード違反の組織作りをせざるを得なくなる。その結果は「大事故」だ。今回はまだその手前くらいの事故だろうが、これを期にもういちど見直してほしいものだと思う。
コメントする