最近、WOWOWで「銀英伝」を連続放送している。今週までで第78話まで終わった。そろそろ佳境。何年か前にレンタルビデオで全部見てから、久しく見ていなかったが結構ハマってる。もちろん、HDDに撮りダメしてまとめて見ているのだが。
このアニメ、戦闘シーンは、流血が生々しい。特に白兵戦のシーンは、ちょっと夢見が悪そうな絵がしばしば。昼間に放送したら、子供の教育云々でクレームを入れるバカ親も多いに違いない。バカ親という表現は不穏当かもしれないが、理由がある。
たとえば宇宙戦艦ヤマトやガンダムなどに始まる一連の人気アニメだって戦闘シーンはあるし、親しい人間の死を悲しむ場面だってある。しかし、驚くほどに血は流れない。そういえば、日本の時代劇のチャンバラシーンも一部の映画を除けば流血や、まして、それ以上のおぞましいシーンはほとんどない。でも、本当にそれでいいのだろうか、と思うのだ。人を殺めるシーンに流血がない。人殺しに実感がない。なにか、最近の凄惨な殺人事件と結びつけて考えてしまう。目を背けたくなるのが、本当の「人殺し」だとしたら、子供にもそれを教える必要があったりはしないだろうか。もちろん、年齢にもよるだろうが、ある程度善悪の判断が出来るような年齢になった時に、こうした映画やアニメを見せて考えさせるようなことがあってもいいのではないかと思う。人を殴れば痛い。切れば血が出る。何度も殴ったり斬りつければ、苦しむし、それを続ければ死ぬ・・・。そんな単純なことに実感がもてないから、凄惨な事件が起きるのではないだろうか・・・。こうしたアニメを子供から遠ざけるだけではなく、時には見せて考えさせる、そんな教育が必要な気がした。
我々が子供のころは「漫画ばかり見てると立派な大人になれない、、」などとしかられたものだが、最近のアニメを見てると「アニメを見ないと立派な大人にはなれませんよ。」と言いたくなる。
内容が深すぎて「大人」には理解できないというのはありそうだが、、
この件、書き出すと長くなりそうなので要点だけ。
1)現在、残酷または性的表現については、放送形態により細かく規定されているようです。旧作でも基準から外れれば再放映されません。(CSで見放題だから気づかないけどV局昼間帯はすごく厳しい)
2)そのため、子供向け作品に残酷性の高い表現を入れるには製作者側の覚悟とそれに局側を巻き込む事が必要です。「ガンダムSEED」「鋼の錬金術師」「BLOOD+」等でそのような表現ができたのは「この表現が無いと、作品全体が成り立たない」と関係者全員を納得させ、腹をくくったからです。
3)また、そのような表現は海外進出の時に大きな枷になります。海外の子供に見せることは不可能で、必ず成年向きになります。
なんだろうね。そんなことなんだろうなという気がします。マスメディアがそういうことにある意味で腰が引けてるのは間違いないんでしょう。
でも、これは今の放送メディアを考えれば仕方がないことだと思う。だって、彼らは、民放だって、NHKだって、進んで何かを変えようとは絶対しないから。
でもねぇ、規制をするのはいいけど、そのことが物事の本質を隠蔽してしまうことで、逆の影響を与えてしまいかねない点は考えて欲しいと思うのだけどね。もちろん、社会的なコンセンサスが必要なことはわかるけど、そんなコンセンサスこそ、メディアが主体的に作り上げていってほしいものだと思うのですわ。