中東問題でのサミットのメッセージ
いかに中東地域に各国の権益が複雑にからんでいるかということを如実に反映したものとも言えるだろう。一方、このような形にしろ、とりまとめられたという点だけをとってみれば、各国の「前向きな妥協」の産物とも言えそうだ。
そういう意味で、イスラエルと中東諸国、イスラム勢力に最も欠けているのは、この「妥協」かもしれない。宗教がからむと妥協が難しい。そもそも、これは歴史的に聖地争奪戦の意味合いもある。本来、人々に幸せをもたらすはずの宗教や思想が奇しくも戦争の原因になる。皮肉な話だと思う。「原理主義」はどの宗教にも存在する。しかし、これを突き詰めていけば、世界征服が必要になる。一つの宗教グループが原理主義に走れば、必ず他の宗教をも刺激して原理主義的グループを発生させる。現代の政教分離原則はそうした危機を避けるための、これもある種の妥協の産物だろう。
ともあれ、これ以上の拡大は、またしても中東戦争を引き起こしかねない。当事者の妥協に期待したいところだ。
こんな例もある。
http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20060720STXKE010120072006.html
全体を見ることなく、たった一つの言葉にこだわる点に「原理主義」の臭いがする。「原理主義」的思考は、すばらしい文化であっても異質なものとして排除してしまうという典型かもしれない。米国では学校で進化論を教えることの是非についての議論が絶えない。これもまた危険なにおいがする。原理主義はイスラム教だけに存在するわけではない。