セキュリティベンダの正義って・・・Part 2

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Part I はちょっと酔っぱらって書いたので、なんだかよくわからない書き方になってしまったけれど、「セキュリティ」に限らず、「ITベンダ」の世界って、結構、他の業界ではもう「ダメ」と言われていることが横行してるかもしれないと思うこのごろ。

「仕様」なんて言葉もその一つ。だいたいモメるのが「バグ=瑕疵」か「仕様」かという点。受託開発ベースのソフト業界だと、ベンダ側つまり開発業者側が一般に弱いので、ベンダ側の言い方は、「仕様書にありませんから追加です」なのだけど、だいたいが「お客様」に押し負けてしまう。一方、コンシューマ相手や企業相手でも製品を売ってるベンダは結構高飛車で、マニュアルにもカタログにもどこにも書いてないことを平気で「仕様」だとおっしゃる。さてさて困ったものだ。中には明らかに変なことをしてるのに、「仕様」とおっしゃるケースもある。このまえ、ある電子メールASPサービスで、私が愛用してるメールソフトがIMAP接続できなくて問い合わせた。あれこれすったもんだのあげく、こちらでログをとって調べたら、IMAP4のネゴの際に、実際にサポートされない認証方式がサポートされるようなCapabilityを返していた。「それみたか」と思って、ログを含めて送ってやったら、しばらく返事がなくて、数日後に帰ってきた返事が、「それは仕様です。こちらのサービスでは O**L**Kを推奨ソフトとしておりますので、こちらをお使いください」である。完全なる RFC 違反なのだが、彼らにとっては「仕様」なのだ。こいつらとこれ以上話していたらバカがうつると思ったので、もうやめにして、自分で proxy をでっちあげて、余計なCapabilityを落として対応したのだが、万事がこんな具合だ。

よくあるのが、海外ベンダ製品で、日本サイドのサポートが本社サポートとの板挟みになって、苦し紛れに「仕様」だと言い逃れるケース。日本独自のサポート、といいながらも実は本国との間の単なるメッセンジャーでしかない場合も多く、少なくともその製品を知っていれば普通なら3分で答えられる内容の回答が一昼夜かかることもしばしば。複雑な内容だと、たとえば英語能力が低いために本社サポートに状況をうまく説明できなかったり、帰ってきた内容をうまく日本語になおせなかったり・・・。結果的に、お客様はお怒りになり、ベンダは、それは仕様なのでどうしようもない・・・と開き直る。そんなベンダには英語で質問を書いて投げてやるのが一番かも。とはいえ、うちみたいに商社系だと、(部署にもよるが)そんなことは朝飯前なのだが、一般のお客では難しい。本社サポートと直接話をさせてくれるベンダはまだいいほうで、いい加減なベンダに限って、直接は絶対ダメという。そりゃそうだ、自分たちのバカさ加減が本社に知られるとまずいだろうから。

海外製品の日本語マニュアルもネックのひとつだ。結構誤訳やわけのわからない訳が多い。中には非常に重要な内容を誤訳(誤解釈)してしまったケースもある。このように、一言でコミュニケーションの問題といっても大変だ。本当なら、そんな問題をマジメに潰していくのが真っ当な会社なのだろうが、ストックオプション狙いの山師的経営者が多いIT海外ベンダの日本法人(もちろん例外はあるが)はそんなところに金やリソースをあまり割かないから、現場はすぐに疲弊してしまう。真面目な技術者は会社を去り、モラルが下がりきった「バカ」だけが残ると、「仕様」が大手を振って歩き出すのだ。

なによりも、「ユーザの利益」を守る、という気持ちが希薄なのが気になる。責任回避にばかり走って、自分たちの「社会的責任」への認識が他業種に比べてIT業界は薄く思えてならない。もちろん、IT業界に身を置く者として自省の念を忘れてはならないと思う。しかし、業界の「常識」もそろそろ変えないと・・・と思うこのごろだ。

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コメント(1)

開発やっている身には、耳の痛い記事です。。。(^_^;)

お客様が成果物の保証をとらない業務委任契約のもとでアジャイル開発を実現できれば、少しは良くなるかなと思います。

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この記事について

このページは、風見鶏が2006年7月30日 10:06に書いた記事です。

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